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過去世の物語:サイード

時代:不明

場所:アルジェリアかモロッコの辺り
性別:男
年齢:35歳くらい
名前:サイード。ベドウィン(遊牧民)の族長
 

また、こうして我が町を遠くから眺めている。
砂の上にしがみついくように建ち並ぶ、風に洗い尽くされたような砂の色の家々が見える。
愛馬がやさしく鼻面を寄せてくる。
彼だけが私の真情をすべて知っている、たった一人の友だ…

すべての学びは、私の民、私の家族を守るためだった。
日夜学び、たどりついた知恵。
私の思いが届く日は来るだろう。
だが、間に合わない。このままでは絶対に。

災いが間近にせまっている。
おそろしい速さでやってきている「あれ」は、遠くからでもあんなに大きく鳴り響いているというのに、皆は聴こえないし、見えもしないという。
何度も「危険だ」と説いたが、私の思いは、他部族の族長どもには届かない。
遊牧を捨ててしまったあとも部族間で争い、わずかしかない物や金品を奪い合うだけの小競り合いの日々が続く。
憎しみが降りつもっていく。
協調を求める私のいうことになど、砂漠の民たちは耳を貸さぬ。

民を思うばかりに、私の無力感は日々つのっていく。

̶ ̶ ̶

留守の間に「あれ」はやってきて、奔流がすべて飲み込み、
巻き込み、唐突に消えた。
私はおのれを責めた…
使えぬ知恵なら、なんのために私は学んできたのか?

̶ ̶ ̶

あの岩陰で休もう。
水も食料も尽きた…
私はやっと横になる。
砂漠の太陽が、容赦なく私を灼く。
日陰に移ろうとしたが、もう体がいうことを利かない。

̶ ̶ ̶

満天の星空に抱かれながら、私はそっと目を閉じる。
これでもう、すっかり自由だ。
私は、自分が笑っているのに気づく。
ああ、こんなに心地よいものだったのか…
ただ、光だけ。
光が私をつつむ!
暖かい。なにもない。それが心地よい。

 

この過去世を象徴するカードは…


剣(ソード)キング 逆位置 、 剣(ソード)4


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